外野手の故意落球による併殺プレイを見たいな

 2008年3月30日中日対広島3回戦6回表無死走者一塁で打者緒方選手は遊撃ライナーを放った。中日井端選手はそれを一旦グラブにおさめながらわざと落球。併殺を狙ったトリック・プレイだが、杉永政信二塁塁審は故意落球と判定して打者走者の緒方選手をアウトと判定した。

中日井端選の併殺を狙ったトリック・プレイは失敗に帰した。

 

故意落球の野球規則は以下の通り。

「打者アウトの規定……ノーアウトまたは1アウトで、走者一塁、一・二塁、一・三塁または一・二・三塁のとき、内野手がフェアーの飛球またはライナーを故意に落とした場合、ボールデットとなって、走者の進塁は認められない。」。

ここで気づいたでしょう。「内野手」がフェアーの飛球またはライナーを故意に落とした場合となっていて、外野手なら飛球またはライナーを故意に落とした場合に打者走者はアウトにならないのだ。外野手の故意落球による併殺プレイは規則違反ではないのだ。

 

どんな場面で故意落球し併殺をしたらよいか?  併殺を成立させるポイントは何か?

外野手の故意落球による併殺プレイができる可能性の高い場面は無死or一死走者一・二塁で、キープレイヤーは二塁手だ。

 

筆者が知っている外野手故意落球併殺プレイで記憶に残っている試合は2012年8月5日オリックス対ロッテ第14回戦(京セラドーム大阪)5回裏無死走者一・二塁の場面だ。

 

オリックスの後藤選手が左翼前にライナーを打ち、角中左翼手はライナーをわざとショートバンドで捕球し二塁に返球した。

二塁走者川端選手は角中左翼手が捕球したと判断して二塁に戻った。だけど捕球していなから川端選手は二塁ベースの占有権は失っている。三塁に向かわなければならない。

このときに角中選手から送球されたボールを捕球した井口二塁手は二塁ベースを踏まずに川端選手が二塁ベースに戻ってからタッチする。そして、次に二塁ベースを踏めば併殺が成立した。

ところが井口選手は二塁ベースを踏みながら角中選手の送球を捕球し、二塁に滑り込んできた川端選手にタッチした。結果タッチがワンタイム遅れて川端選手はセーフになった。

 

併殺のポイントは二塁ベースの占有権を失った二塁走者に先にタッチしてから二塁ベースを踏んで一塁走者を封殺することなのだ。

ところが二塁手はあわてて二塁ベースを先に踏んでしまう。その結果、二塁走者は二塁ベースの占有権を回復してタッチプレイになってしまう。その間に二塁走者は二塁ベースに戻って併殺が成立しないのだ。

 

結局、角中左翼手の頭脳プレイも塁の占有権と封殺とタッチプレイの関係が一瞬混乱する井口選手のチョンボで失敗したのだ。

外野手の故意落球による併殺プレイは走者の占有権の判断を即座にできる二塁手次第なのだ。

筆者は生きている間に一度二塁手と連携した外野手の故意落球による併殺プレイを見たいと願い、期待しているのだ。