勝負の世界は弱きを挫き、弱きを挫く
ヤクザ映画や股旅映画のヒーローは『強きを挫き、弱きを助ける』が仁義である。
高倉健、萬屋錦之助、市川雷蔵は弱い庶民や農民を助け、強い悪親分や悪代官を叩きのめす。
しかし、プロ野球の世界は『弱きを徹底的に挫く』。それは選手自身が生き残る道だからだ。そんな場面を見るとプロの世界は厳しいなと思う。
阪神佐藤選手の今季の記録を追ってみた。
・3月26日、対ヤクルト戦ヤクルト清水投手から初三振。
・3月27日、対ヤクルト戦田口投手から初本塁打。
・4月1日、対広島戦中村投手から2号本塁打。
・5月28日、対西武戦1試合3本塁打。
・7月4日、プロ野球19人目の1試合5三振。
・7月14日、新人選手三振記録121。
・8月21日、対中日戦の第4打席で中前安打。 これ以降安打出なくなる。
・9月10日、1軍の出場選手登録抹消。
・10月3日、対中日戦で4打数無安打。
野手の連続無安打記録59マーク。
・10月26日、対中日戦、2打席連続三振で今季173三振。
日本人選手として第2位の三振記録。
7月に1試合5三振をしてから三振が多くなる。
投手は佐藤選手の弱点を見つけ突いて来た。本塁打は出ない。安打も出なくなる。徹底的に叩きのめされた。
打たれた投手はこのままだと生き残れない。首という引導を渡される。ならば、やられたらやり返す。
それが、自分が生き残る道である。
勝負の世界で生き残るには「弱きを挫き、弱きを挫く」ことだ。それが勝負事の鉄則だ。
それを感じたプロの一年だったのでは。